うらびれた店

うらぶれた店では

誰もが下を向いている

 

喋らない

呑まない

食べない

 

時が止まり

固まった人の姿だけが

席に張り付いている

 

それでも

通わずにはいられない

 

行き場のない人々の

吹き溜まり

 

ぽつり

ぽつりと

人が消え

 

また

迷いついた者が

席につく

 

入れ替われど

佇まいは変わらない

 

永遠を映した

停滞の場

 

浸かれば

二度と出られない

 

苦渋が染み出した

安息の場所