アナクロニズムの回路

破壊衝動に塩をして

睥睨と嘲笑が隠し味

 

抑えて抑えて

顔をのぞかせる程度の皮肉

 

斜めに斬れば

うっすらと血がにじむ

 

ガタンゴトン

ガタンゴトン

 

この列車に乗ったのは

いつだろう

 

正義や成功という

終着駅に向かう路線は

混みすぎていた

 

各駅停車に乗り換えて

空いている車両に乗ったら

 

思ったとおり

肥溜めに近づいているのだった

 

燻ぶる臭気

落ちてゆく陽

 

霞のかかった車内

乗る者の体は

グズグズに崩れている

 

暑い

それにしても暑い

 

すべて

脱ぎ捨ててしまいたくなる

 

廃墟の中を走る列車は

もうすぐ

線路がなくなる

 

もう笑えもしない

 

コンビナートの灯を見ながら

頭が溶けていく