狂気の沙汰

首を絞められて

体も心も

悲鳴を上げている

 

どこにも行けない

 

恐怖を煽り

見えないのを良いことに

 

人々を

不安に陥れる

 

人は死ぬ

いつだって死んでいる

 

恐ろしい病など

星の数ほどあった

 

それでも

人の心を

社会を

 

今まで

苦渋の歴史に積み上げてきた

人々の尊厳を

 

踏みにじるものではなかった

 

それが今や

自由も人権も

簡単に放り捨てられている

 

西洋ではない

この国で

 

人は死なず

政治は動かず

 

不安と恐怖だけが

渦巻いている

 

この窮屈は

いずれ憎悪と排他に連なり

 

この世を

醜悪なものへと変えるだろう

 

人は死ぬ

どの病で死にたいか

 

どの心の下で

死にたいのか

 

インフルエンザで死んだ人が

毎年一万人

 

彼らは

まだまともに死ねたはずだ