技芸と情熱

透過する言葉

 

オリジナルという幻想

 

未熟な実感を

己だけのものと大事に抱え

 

子供の文で

世に出して

 

自分だけの言葉と宣うか

 

空虚な虚飾で

難解な単語を繰り出し

 

一行で書ける本音で

一冊の本を出し

 

修辞の美学に酔いしれるのか

 

どちらも

同じく愚かで

同じ轍を踏みがちなこと

 

魂か技芸か

技芸の内に魂が宿るか

 

答えなどなくとも

 

稚拙で読むに耐えない文字と

空虚で読むに耐えない文字と

 

どちらを選ぶか

 

稚拙を言い訳に

技芸を蔑ろにする愚行を嫌い

 

修辞に依りかかり

情熱を見下す冷笑に呆れ

 

つまりは

魂の形に沿った

器を用意できない怠惰が

 

もっとも忌避されるわけである