自分のために
身内が拷問にあっていたら
辛いだろう
茹で釜に
半身が浸り
引き上げられた足腰は
赤を越えた
どす黒さ
煮えたぎった湯に
再び入れられる間際
わたしは
傍観者で
何もできない
悲しむことも
苦しむことも
演技なのかと
思うほど
ただ見ているだけだった
代わってやる気は起きず
祈ることも
声をかけることもせず
苦しめられ
潰されていく
一個の親しき生命を
眺めていた
自責もなければ
良心の呵責もない
ただ
爛れていく肌の色が
目に焼き付いて離れない