停泊地

漂流している生

 

人はもともと

何も持たないものだから

 

心に錨を降ろし

安定を求める

 

家族に落ち着き

仕事に居場所をつくり

 

在るべき場所を

自分で決めて

 

その中で

自由を探す

 

ふわふわ

ふわふわと

 

何も持たない

漂流者は

 

多くの者には

不安だから

 

本当は

もともと持っていないのに

 

何かを手に入れ

何かを自分のものとして

 

つかの間の安堵を欲しがり

 

心安くなりたがる

 

一つ皮を剥げば

そんなものは幻

 

だが

その幻に酔っていたい

 

自分の生

自分の場所

自分の停泊地

 

海は誰のものでもないのに

己の縄張りであるかのように

振舞いたい

 

いいじゃないか

 

でも

板一枚下の

危うさを忘れるな