死者は蘇る

道を歩いているだけで

記憶に流され

 

一冊の書名に

死者の思い出がまとわりつく

 

遍在する死者に

いつ何時

遭遇するかも分からず

 

記憶の再生は

よく悪夢をもたらす

 

頭の中に棲む死者に

出会うのを恐れ

 

記憶の檻に捉われると

 

生は

いないはずの死者に

搦め捕られる

 

いつまでも

死なない死者よ

 

お前は

私を苦しめ

私を郷愁にいざない

 

過去を肥大化させる

 

忘れる才よ

はやくわたしに降りてこい