夜の泣き声

通りすがりの道端で

若い女性が泣いていた

 

スマホを握りしめ

片手には

缶チューハイ

 

大声で

真夜中に

 

道路に座り込んで

泣いていた

 

ここは都会の暗部

絶望と欲望の蠢く街

 

人の涙など

あっという間に飲み込まれ

 

朝日が昇れば

何事もなかったように

街は動き出す

 

どんな悲しみも

夜の闇に消え

 

咆哮は

車のエンジン音に

かき消された

 

無慈悲な

いや

感情を拾ってなどいられない

 

一人ひとりに優しくしたら

この街はパンクする

 

あまりにも

汚い感情で溢れかえるのが

分かりきっているから

 

無視するしかないのだ