切る道具

作品があり

作品を取り巻く文脈がある

 

作品を知るなら

背景を知れと

 

知ったかぶりに説かれるが

 

背景の知識に酔って

作品を見ない愚か者が多すぎる

 

ミソジニーだの

ホモフォビアだの

 

あまりにも

あまりにも安易に使いまわして

 

悦に入っている感想文が

もはや痛々しい

 

それは

おもちゃを買ってもらった子供が

 

やたらと

使いたがり

 

自慢して回るような行為である

 

手にした道具を

使い方もよく知らないのに

 

めたらやたらに振り回し

 

おまけに

人を攻撃しさえする

 

使い方を心得ろよ

 

それは武器じゃない

 

作品を読み

切り開く道具なのだ

 

人を切って

切れ味に酔い

 

知識を開陳して

偉ぶるためのものじゃない

 

馬鹿に包丁は

いつだって

危険である