余白

余白を以て成り立つのは
書物だけではない

カンバスに
ほとんど描き込みのない
子供の人生

親や周りの人々が
様々な画を空想し
期待し
嫉妬し

時には当人に断りもなく
勝手に筆を入れようとする

その子の
カンバスの大きさも
持てる画材も
生まれ持って違うだろう

だが
余白に書き込む余地があれば
描きたいという意志で
腕を磨き
少しずつ埋めていけばいい

余白は余白で
何もなく
空っぽだ

空っぽのままであることが
虚無でもあり
その哀しさに打ちのめされることもある

しかし
余白がなければ
未来はなく
生きている限り
誰にも余白はある

余白を以て満足できずとも
余白とともに在ることだけは肯定せねば

子供の姿を直視できない