自虐の快楽

年に何度か
自棄になる

明日などどうにでもなれと
物を買い込む
暴食する
記憶をなくすまで呑む

積み重ねた日常を
一度に崩し倒し
台無しにする

これが止められない

何一つ得にならないのに
ダメになるのが分かりきっているのに

自虐的な欲望の発露は
自分をダメにすればするほど
楽しくて
体にエネルギーが満ち
なおさら自分を虐めたくなる

心身のバランスや
日常の束縛を解き放つのは

日常を見直すために必要だけど

抑制なき欲望がもらたす快楽は
節制しようとする自分を
まるで悪者のように攻撃する

普段
私を虐めているのはお前じゃないか
やりたいことを我慢させ
食べたいものを食べさせず
私を押さえつけているじゃないか

悪いのはお前だ
理性だ
本当の俺を解放しろ
何も考えず自由にエネルギーを発散させろ

そして欲望は暴走し
疲れて眠るまで
私は身を任せ

翌日
日常のくびきを繋いでも
自分の中の暴れ牛を
私はどこか愛している