春の終わり

寒さは遠のき
新緑が深緑へ色を変える

この頃の陽射しは
強く
真っすぐで
自立している

照らされた背中に
熱を感じる

迷いのない
光の強さと
太い骨格と
濃淡の明確さ

青年のような季節
未だ光が強まる予感
前だけを向いていられる時

そんな機会を待っていた
歯車が噛み合う感覚の心地よさ

詩心は吹き飛び
現実に手が届くような充実感が
体内を駆け巡る

そんな一夜に
千金の価値があることを
誰もが後に気づく