タコのつく手

職人の手
分厚い皮膚
固く盛り上がったタコ

長い年月
反復そして反復
疲れにも痛みにも耐え
一つ同じことを続ける

何を生んだとしても
その手に刻まれた跡は
一朝一夕では手に入らない
金で簡単に買えない


その手はもう疲れ果て
仕事から解放された

年を取った手は
皺が伸びて元に戻らない
仕事はない
手は動かない

二年や三年の歳月で出来たなら
手についたタコは
すぐに消えて無くなる

職人の手は動かない
しかし分厚い固いタコが残る

その人生の刻印
憧憬や尊敬や尊崇
偉ぶった言葉は似合わないが
それは立派なものだ