爪と髪

伸びて伸びて
どこまでも伸びる
切り捨てるのが前提の身体

いつも切っては
煩わしくて

この髪を
この爪を

便利に使えないかと思いながら
そのまま
数十年も生きてしまった

少しづつ白髪が増え
爪はしなやかさを失い

爪も髪も
自分そのものだと
信じられるのに

相変わらず
不要で切り捨てている

爪や髪を食べる人もいるが
私の好みには合わず
しかし嫌悪もせず

この感覚の通じない自分の一部に
愛と拘泥を持てない私は
このまま大量のタンパク質を
垂れ流し続けるのを
傍観しつつ
少し
惜しいと思っている