水の味わい

水を買うなんて馬鹿らしいと
二十年前には思っていたけれど

今ではお茶よりもジュースよりも
水を買って飲む

水の味にうるさいわけじゃない

むしろ味がないことに
水の価値があって

透明で色の付いてない存在は
エネルギッシュな主張の合間で
自分を素に戻してくれるから

食べ物を食べれば
水を飲むし

水を飲めば
お茶の旨さも強さも分かるし

立ち戻る場所
自分についた味を洗い流してくれるものとして

水はいよいよ大事になった