酒は旨い

トロリと
なめらかで

米の甘さと
麹の香りが立って

腰は強く
匂いが強い食べ物だって
当たり負けしない

故郷を懐かしんでは
飲む地酒

旅の気分で
味わう
土地の思い出

どこに行っても
酒はあり

記憶に残る
味があり

郷土の料理で
呑む酒は

飲めば飲むほど
積み重なって

私の胃を痛め
体を蝕んでは

郷愁と感傷を
残してゆく

今日の酒も
明日に残り

腹を弛ませ
乾いた喉で

朝方
水道の水を
むさぼり飲む

その旨さ
熱く腫れぼったい体に
染み込んでゆく

そして酒は
陽が回れば
再び体内を巡り

わたしの体と心に
何かを刻みつけて

分解され
消えてゆくのみ