酉の市

熊手並ぶ参道

横に外れたテーブルで
オヤジたちが
焼鳥片手に
缶チューハイを飲んでいる

空気は乾き
埃っぽい

冬と言うには暖かく
師走と言うには
せわしなさを感じない

それでも
酉の市が来るたび
一年がもうすぐ終わる
感慨にとらわれる

大きく
鮮やか
飾り付いた熊手

富と安全と商売繁盛が
目に見える偶像

この祝祭を楽しむのは
我々も
江戸時代の人々も
変わらず

すべてが違う世界に
生きていても

熊手一つ眺めるだけで
つながる刹那が生まれ

人は同じことを繰り返し
年の周りにリズムをつけて
世を渡っていたのだと思い

甘酒を啜った