大木のように

同じ場所で
逃げも隠れもせず

根を張り
葉を茂らせ

気の遠くなる年月を経て
生き残った古木

分厚い樹皮は
傷も裂目も飲み込む

すでに勢いはなく
しなやかさも失った

代わりに
びくともしない太い幹と
何事にも動じない安定

ただ在る事
鈍く
強く
鈍重である事

数知れない
生存の争いに
残り続けて

存在すること自体が
人を落ち着かせ
安らげる

鈍感で
動じないから
強くみえるのか

生命力が強いから
少々の苦難にへこたれる様子も見せず
鈍重でいられるのか

木は
生きるために必死でも
それを見せない

それは虚飾でも去勢でもなく
見せる必要がないからだ

生きるために
大切なことをわきまえていて
無駄なことをしない

ただ生きる
枯れるまで