自由と自己規定

自由になりたい
何にも縛られたくないと
連呼しながら

住む場所を固定し
働き方を決め
話す言葉も
普段の振る舞いも
ルーティン化して

人は己を
自由とは程遠いところへ
導いていく

縛ることで
自分とは何をする者か
どんな存在か
固める

固まったら
逆に
自由になりたいと
言い始める

ほどほどの自己規定と
ほどほどの自由を願い

厳密な自己規定と
絶対の自由を恐れ

徹底を避け
バランスと
柔軟性を駆使し

手に入れる人生は
やはり中途半端で

常に不満を覚えながら
忘却と曖昧化を繰り返して

人は生きる

生きるために
当然の思考回路だと
自覚しながらも

腑に落ちない
思いを抱え

それが
文学の萌芽となる