酒の悪戯

健康は何より大事だが
人は健康のために生きるわけではない

のっぴきらない付き合いで
遠方よりの来客で
時には自棄で

ごくごく稀に
飲みすぎるのは
避けられない

飲む前の覚悟は
酩酊の中に忘却し
後悔だけが残る

鉛が埋まった頭
ズキンズキンと拍動が響く

胃の腑から
酒臭い吐息が上り
いつまでも消えない

耐える
ただ時が過ぎるのを待つ

この息と
頭痛と
灼けた臓腑が

半日もすれば
元に戻ると
分かっていても

酒が抜けていく間の
不快に身悶える

そうして
回復した心身は

二度と飲みすぎないと
決意するも

再びの
付き合いと誘惑によって

泥のような
酔いの海に落ちてゆく

薄弱な意志と
アルコールの悪魔への
耽溺と陶酔

夢遊者のごとき
覚醒と酩酊の徘徊

いけないと分かっているからこそ
惹かれていく

酒の悪戯