夕凪

雨だれの
音の懐かしさ

したたった液体の
艶めかしさ

染みて
広がって

溜まって
乾いて

埃が落ちた大気に
湯気になって戻る

陽炎揺れる夕方の
雨上がりは

さわやかな刹那の後の
蒸せた空気

草の香

風なく
人なく
時が止まり

蝉の声と
汗だけ流れる