夏の終わりの生暖かい夜

生暖かい夜に
扇風機回して

夏の日の過去を
遡る

凪いで
留まり
溜まった

湿った空気が

錆びかかった
扇風機のエンジンと

虫の音と
風鈴を微かに鳴らして

子供の頃
蚊帳の中で

汗を流した肌と
思い浮かばせ

停滞した夜の
心地よさに

幾ばくかの
怠惰と
悔恨と

甘美な艶めかしさを
匂わせる

味わい尽くし
疲弊した夏

終わりにいたる
もの悲しさが漂い

そして
安堵する