生命の藻掻き

舟から
釣糸垂らして

針に食らいつく
魚の鼓動

プルプルと震え
藻掻き
足掻いて

ついには
船べりに引き上げられる

食い込んだ針
激しく動くエラ

暴れて
必死になって

命をつなごうとする
健気さと裏腹の

魚体の輝き

命は
こうして手玉に取られ

美しさを放って
人の手に落ちる

柔軟さと
力強さに満ちた
生き物の鼓動

それを口にする
人の喜びと残酷さ

逃れられない輪廻の業

毎日
食べて
生きて

いつか
どこかへ
譲り渡す命を

わたしは
つなげているだろうか