寒さと追憶

冬の夜
寒風に吹かれながら
家路を急ぐ

その時
思いだす

北国で育った
子供の頃

肌を刺す
冷たさ

赤いほっぺた

一面の雪
月明かりに浮かぶ
白い世界

人はみな早足で
影だけが追いかけてくる

くぐもった訛りは
雪に吸われ

静かで
なにもない田舎を

ただ歩いていた

何も考えず
白い息を吐き

ただ歩いていた