放蕩者の虚無

飢えていない

着るものにも
住む所にも
困っていない

少しばかり
小遣い銭を稼ぎ

あとは
ブラブラ

辛い仕事もしなければ
人間関係にも悩まない

昼から
酒を飲み

眠くなったら寝て
起きたいときに起きる

家族は何も言わず
ただ惰性で暮らす

苦しいことなんかない
なんて良い人生なのか

ところが
そうじゃない

やりたいように
やっているようで

彼は
誰からも
世の中から

必要とされていない

居ても
居なくても
同じ存在

何十回も
何百回も

会社に落ちてを
くり返し

もう
職に就く
意欲も枯れた

世の中に出る気も
生きる意志も

なんにもない

居ても居なくても
同じどころか

どこの会社も
家族さえも

どちらかと言えば
彼の存在を
煙たがる

もう消えたほうが
いいんじゃないか

酒を飲み
酔った頭で

彼は毎日
自問し

その不安を
打ち消すように
また酒を飲む

情けない自分
無気力な私

このまま
死ぬだけに
生まれてきたのか