子供のみる世界

絵本を開くと
不可解になる

いきなり頭が
爆発したり

シャガールみたいに
空を飛んだり

消えて無くなったり
猫が話したり

およそ
現実では考えられない
どころか

空想であっても
思いつかない世界

台所で
料理をしようと
包丁を探したら
三日かかった

こんなのがザラ

何が楽しいのか
分からないけれど

子供は
目を輝かせている

一歩間違えたら
悪夢のような

現実より
意識が先行して
世界を歪めたような

精神が設計した
不思議の国

こっちのほうが
リアルで

こっちのほうが
楽しくて

こっちのほうが
怖い

ほんとうは
わたしたちも
同じ世界を見ているはずなのに

不安定さに
おののいて

感覚に蓋をして
常識のほうが
立派だと思っている

混沌も
迷妄も
排除して

つまらないほうが
立派だと思っている

子供に比べたら
大人の方が

よっぽど
怖がりだ