港の夜更け

うらびれた港町
岸壁の宿

深夜
縁側に佇めば

打ち寄せる
波の音

暗闇に浮かぶ
星の光

なお深く
夜は更けて

時の流れは
ついに止まり

意識は
闇の中に
溶けてゆく

どこまでも
惰性に

いつまでも
考えず

感じず
動かず

ぼうっと
過ぎてゆくだけ

苦痛のない
実体のない

すべて
波と星と闇に
委ねる恍惚