愚行礼賛

警句ばかり書いて
したり顔をするよりは

愚行を繰り返し
何も学ばず
失敗を重ねるほうがましだ

自分が何者でもないという
予感にさらされ続けた者は

何をしても
徒労としか思えない

無気力と無関心
人生の長さを持て余し

皮肉と嫉妬を
友として

自分への失望から
ひたすら目を背け

かと言って
何もすることなく

自己否定を懐に抱えて
動けずにいる

もう少し
若かったなら

生活に余裕があったなら

あの時
ああしていたなら

誰しも思ったことのある
空想の一コマが

当人には
手違い一つで実現した
必然に等しい
もう一つの未来に映り

それが
彼を縛り
苦しめ
あるべき姿と違っている
現実が
彼を脅迫し続ける

愚かにも
ほどがある意識

振り払うには
もっと愚かにならなければならない

何も考えず
手を動かし
体を動かし
身を削って

役に立つのか立たないのか
意味があるのかないのか

そんな下らないことは考えず

鉛筆を削るように
愚行を反復し

心臓の鼓動に
耳を傾けることだ