影が招く

静かに目立たず

ゆっくりと

着実に忍び寄る

 

いずれ

私たちは

 

覆われる

 

片隅に住みつき

脳裏に浮かんでは消える

 

暗い

暗い

闇の向こうから

 

手招きする影

 

蓋を閉じ

目を背け

 

逃げれば逃げるほど

忘れられず

 

一人俯いて

内観の折

 

影は

甘い香りを漂わせる

 

恐怖も

躊躇もなく

 

街燈に集まる羽虫のごとく

 

ふわふわと

影の方に寄っていく

 

何も感じない

無に向かって