名残りの白粉花

日が陰り

そわそわする頃に

花開く

 

濃い桃色の

小さな花が

散り散りに

 

甘い微香を放ち

夕辺に隠れた白粉花

 

風呂に入り

一杯飲んで帰れば

 

すっかり暗くなった

夜の中に

白粉花が咲いている

 

陽射し低く

夕暮れ早まる季節に

 

夏の暖気を惜しむように

黒い種を抱きながら

 

ポツリポツリと

未だ花を咲かせて

 

小さくも

したたかに

 

道端に生きる

都会の白粉花