落ち着いてきた世
人々は病に慣れ
先のことを考え始める
動き出す
ゆっくりと
しなやかに
したたかに
ようやく
自分のことが考えられそうだ
自分のことだけ
逡巡していられる
この世界の
異物という異物が
排斥されず
放置されるだけの
時が帰ってくる
ただゆっくりと
眺めているだけで
おびやかさず
おびやかされず
自らの心打つものに
耽溺できる日々
同じではないが
同じくらい晴れやかな
忘れられないが
忘れられそうなくらい明るい
日々の光が
射し始める