溜り水

傾城の無気力に洗われ

鈍磨極まる精神

 

鬱屈と倦怠が

脳に巣食い

 

停滞の粘りに侵され

動けず

 

今が不快で不快で

どうにも堪えられない

 

蝕まれた精神は

逃げ場なく

 

血の巡りに乗って

体内を循環し

 

末端でピリピリと

痛みの信号を発している

 

どうにも

つらい

 

逃げ出したい

飛び出したい

 

この腐蝕しきった場所から

とりあえずどこかへ

のがれたい

 

そうでないと

頭の奥に溜まった

 

鬱屈の毒が

全身を浸し

 

体は痺れ

意思は奪われ

 

時は止まり

未来が閉じて

 

何も無くなってしまう

 

日が昇り落ち

潮が満ち引きし

 

雨が川へと流れ

季節がめぐるように

 

流動していなければ

身はもたない

 

頼む

時の人

 

明日を閉じないでくれ

 

道を開いていてくれ

頼む