匂い 盛る

広がってゆく

目に見えない

 

鼻腔をくすぐる

花の香

 

夕映えの歩道橋

鉄路に響く振動

 

薄暮に染まり

視界は閉じゆく

 

花の匂いだけが

辺りをつつみ

 

なまめかしい春の

なまあたたかさを彩る

 

遠く

遠く

 

暮れてゆく日よ

 

はるか昔から

変わらない

 

花の香とともに