独白の前

書き言葉は

すべて独白

 

それでいながら

独りごちるものではない

 

独白であって

独白に陥らず

 

個であって

個で完結せず

 

私事であって

私にとどまらない

 

意味は二の次

 

言葉の

音とリズムが

魂に呼応して

 

キレて

伸びて

 

芯にまで届き

剥き出しにする

 

言葉という作り物に

乗せられ

騙され

 

暗示にかかったように

曝け出され

 

ついには

想像もできなかった

新たな自分に出会い

呑まれ

 

はるか

地平の果てまで

連れて行かれてしまう

 

その時

言葉は

人が作り出していながら

 

人智を超えた

熱と狂気を帯び

 

叫び出さずにはいられない

衝動と情熱を掻き立てて

 

魂の前に

立ちはだかる