中央分離帯の異物

幹線道路の

中央分離帯

 

かつて

何もない

空間だった

 

いつしか

砂礫とセメントで

不規則に盛り上げられ

 

周囲は

金網で覆われた

 

都会に居場所を求め

受け入れられず

 

隙間に住む人々は

再び居場所を失った

 

排除され

また排除の憂き目に遭う

 

この街は

どこまでも

快適な空間を

模索することで

 

快適でない存在に

限りなく

冷酷な仕打ちを

行うようになった

 

ゴミもない

猫もいない

ホームレスもいない

 

きれいだ

 

きれいであるために

人を泣かせ

 

弱き者を

さらに弱く

 

存在を否定し

いないと言ってのける

 

されば

ここには

 

秩序と衛生の

王国が出来上がり

 

秩序から

外れた途端

 

放逐され

抹消される

 

ここがきれいなら

邪魔者のことは

知らない

 

知らないで

済むのだろうか