2020-11-07 歯の無い男 #詩 詩 あいつは いつも 飲み屋の片隅で 焼酎を飲んでいた 一品のつまみと 三合の焼酎 ちびちびと つまんでは呷り 呷る度に 顔が赤く 最後には どす黒くなる 赤黒くなるほどに饒舌 ニカっと笑った口の中には 歯は一本も生えてない こうして飲むため 何を失ってきたのだろう どんな犠牲を 払ってきたのだろう ここは この男の城 御大尽だって ここじゃあ ただの客よ