いつかの告解

甘い

美味しい香りに

誘われて

 

好き放題した

 

やりたいように

欲望の赴くままに

 

酒池肉林も

博打も

何もかも

 

そして

残ったのは

 

借金と病気

 

楽観と諦観

失望への納得

 

これだけ

遊んだのだ

 

これだけ

やりたいように

生きたのだ

 

いいよ

ダメでも

 

刺激と興奮が欲しくて

停滞に倦んで

 

だけど

努力はしたくなかった

 

カード一枚

サイコロ一つで

傾く人生

 

脳髄から

手足の先まで

痺れた

 

いくら酒を飲んでも

酔わない

 

頭は

冴えに冴えている

 

そんな日は

決まって

 

少し勝った後で

すべてを失った

 

分かっていた

最後には負けることは

 

それでも

負けるまで

やめられない

 

やめられないことが

博打のモラルのような

博徒の境地のような

 

なぜか

生きる筋を通しているように感じていた

 

だから

いつだって

最後までやりきった

 

情けない思いを抱いても

ここで引けば

また再起できると

頭では分かっていても

 

財布の中に

金が残っているのが許せない

 

そう

狂っていた

憑かれていた

 

あれは

筋を通したんじゃない

 

博打をしているときだけ

他に何も考えなくて良かったから

 

他のすべてから

逃避するための詐術

 

何もないのが

分かってて

 

それが

嫌で嫌で

 

せめて

絶望でも借金でも

 

欲しかったんだな

人生に抑揚が

 

ただそれだけだ

もう

 

いくら考えても

他に思いつかない