不可解の恐怖

突然

見知らぬ人に殴られたり

 

呪いの言葉を吐かれたり

自動車で追い回されたり

 

理由もない衝動による

破壊が目の前にあるとき

 

理由がないため

何倍も

恐ろしい

 

恨みつらみ

因果関係があり

 

悪意も暴力も

理解できるものなら

 

それは

私の認識の範囲

 

意識の縄張りの中

 

それから外れる何者か

 

歩いては右手で人を殴り

左足で相手を蹴る

 

理由もない通りすがり

 

運が悪ければ

いつ行き合うか

分かったものではない

 

理解できない

暗い暗い

衝動が

 

意識の奥から

立ち上り

 

彼を暴力に掻き立てる

 

自分でも分からない

制御不能なわたし

 

アクセルをベタ踏みして

ガードレールを突っ切る

 

道も縛りもない

枠の外へ

逃れたいわたし

 

そんなわたしが

自分を乗っ取って

破壊に走るなら

 

誰にも

理由など

分かるはずがない

 

壊れて

潰れる寸前の

 

発狂した

人形にしか

映らない

 

こわい

 

おそろしい