酒飲みの詩

酒のために

 

手足はしびれ

きつい吐き気

 

朦朧な記憶

千鳥足

 

ぶつかっては

歩き

 

ものを落としていく

 

なぜ

死に迫る愚行を

 

安全に

死に迫る

 

危機を自覚せずに

 

体を壊し

脳を壊し

精神を停め

 

後悔で満たされる

未来を確信しながら

 

杯を傾ける

 

刹那への欲望

自己破壊衝動

 

臆病で

したたかな人間に

出し抜かれるのは

分かりきっている

 

敗北が

酒を進める

 

おそろしいほど

周到に張り巡らされた

 

酒への道

 

飲んでは弾け

飲んでは泣き

 

無力と鬱屈を

溜め込んでは

 

また酒を飲む

 

どこまでも

どう辿っても

酒に行き着く

 

見えるかい

 

どうしようもない

酒飲みが

 

酒以外を

失っていく放物線が