生きるかたち

うらぶれた酒場で
くだを巻く男

仕事が大変だ
明日も早出だ
上司がうるさい
こき使う会社だ

オレはよくやってきた
がんばってきた
不満はあるが
マシな人生だ

いくつもの夢を抱き
ことごとく破れ
都会の片隅に収まり
名を成すこともなく
努力もせず
毎日酒浸り

そんな生活を肯定し
自分を肯定して
生きている

バカにしてはならない
誰だって同じようなものだ

生きてゆくうちに
生き方が固まる
そのスタイルを変えるのは大変だ
そして変える必然だってない
自分の人生は自分のものだ

固まってしまった自分の生き方を否定したら生きてゆけない
心の底に澱が溜まっていても
鬱屈していても
本音でなくても
ささやかに自棄酒を飲んで
自分を正当化する

だから人生は哀しい
生きているからには
その哀しさも認めたい