眠らない街

三丁目の裏通りで

猫がゴミ箱を漁っている

 

もう日は落ちた

 

道行く人はまばら

 

曇天で星は見えない

こんな夜には

くぐもった嬌声が

闇の間から流れてくる

 

澱み

生臭い瘴気

 

酒とタバコと

よく分からない薬で

 

フラフラになった者どもが

ヨダレを垂らしながら

街を徘徊する

 

朝から晩まで

抑え込んでいた

欲望のゴミ捨て場

 

一心不乱に惑い

暴れ

踊っては

 

どこかへ消えてゆく

 

残された弁当の食べ残しと

吐瀉物を

 

猫とネズミと

鳩とカラスが分け合う

 

眠らない街

ここは

 

何が起こっても

不思議じゃない