あの時の森

時の流れのはやさ

いつもは気づかない

 

子供の頃

遊んでいた森に

帰ると

 

ヒョロヒョロの杉が

大木になっていた

 

森は深く

日差しは薄く

 

根本に生えるシダ

降り重なった枯れ葉は

 

カフカ

人の気配など

微塵もないのだった

 

あの時

ここで遊んだ

 

それは現実とは

思えず

 

この森も

自分も

 

もはや為す術が

ないかのごとく

思われた