叙情愚詩

コロナのうちに

人が死んでいた

 

コロナのうちに

大病を患っていた

 

コロナのうちに

いなくなり

 

コロナのうちに

なくなった

 

痕跡も残さず

 

言葉も

感情も

分からないまま

 

会えなかった

長い時が

 

人を途絶えさせ

人を無くした

 

人は死ぬ

 

いづれ

必ず

人は死ぬ

 

その様を隠し

時を奪い

 

気づかせもしない

コロナ禍に

 

突然の死の知らせ

 

脱力も

諦念も

 

怒りも

憎しみも

 

どれでもなく

 

しかし

すべてが混じりあった

 

無念である