雨粒の下に

曇天の秋の下

雨粒混じる風に打たれ

鉄橋を渡れば

 

アイルランドの片田舎に

迷い込んだ錯覚にとらわれる

 

寒く

風の音だけが聞こえ

 

生命の気配なく

灰色の街

 

雨と土の匂いが

空気をかき回し

 

体を打つ冷たさは

五感を閉じさせる

 

我が家を目指し

俯き加減で急げば

 

かの昔

何事か口ずさむ

 

詩人の姿が

脳裏に浮かぶ