浮遊する街

若者が出ていって数十年

残った商店の跡継ぎたちが
知恵を振り絞った町おこし

おしゃれなカフェと
食べ歩きのイベント

屋台村

そこかしこに
不思議な銅像が点在して

モダンアートだの
芸術の町だの

わけのわからないことを
売り物にしている

どこぞの町で始まったイベントの
二番煎じ

郷土料理だけ出しておけば
それで良いという適当

結局
一つや二つの料理が違うだけで

どこに行っても
同じ構造の町おこしが出来上がる

そんなんじゃなくていいんだ

都会的で
洗練された心地よさなど

都会に住めば
事足りる

急ごしらえの
よそ行きよりも

旅先の銭湯の佇まいや
焼鳥屋での日常会話

土地土地の生活が
垣間見られる空間に

ちょっと触れられるだけで

田舎の言葉を耳にしながら
ビールを一杯煽るだけで

感じる旅情が
たまらなく
愛しいのだ