銭湯の正月

正月の銭湯
一年に一度の朝湯

特別な日の湯なら
行き交う人も
さまざま

普段なら
銭湯に来ない人

昔は来たけれど
ご無沙汰していた老父

扉を開けて
桶を持ち

カランの前に
腰を下ろし

それだけで
風呂に入り慣れているのか
一目瞭然

なかには
ろくにかけ湯もせず

浴槽の湯を
手で掬い

アリバイ程度に
二三度パパっと
腿にかけただけで

風呂に浸かる人

手拭いを
浴槽に漬けて
風呂に入る人

それぞれ
昔は良かったのだろうけれど

今では
してはならぬこと

正月だから
いろいろな人が来て
勝手に風呂に入ってる

この猥雑さ
混沌に身を任せ

新年の
風呂初め

人と同じ
風呂に浸かる

気楽と勝手
気持ちよさ

思いがままにならない
この世の
また楽しさに浸る