うらびれた飯屋

煤けた看板に
古い革張りの椅子

整然と並ぶ

一人客が
ぽつりぽつり

黙って瓶ビールを取り
席に着く

新聞を広げ
コップに注いで

ちびちび
口に含む

テレビから流れる

アナウンサーの声だけが
空間を満たし

座る人の沈黙が
なお重く
染み入る

オムライス
焼き魚
ラーメン
カレーライス

休日の夕刻に
一人食堂で食べる飯は

懐かしく
もの哀しく

しみじみと
胸に迫り

昔を思い出し
時を噛みしめて

腹が満ちる