風にのって

丸い

なまった

あたたかい風は

 

植えたばかりの

稲を揺らし

 

皐月の光の中

駆けてゆく

 

南から

夏が押し寄せ

 

韜晦の春は

役目を終え

 

震えは止まり

衣を脱ぎ

汗が流れ出す

 

手をひろげて

体で浴びた

 

夏の気配を

 

憂いなど

馬鹿馬鹿しく

 

ただ射してくる陽線

風を孕んだシャツ

 

立ち上がる熱気とともに

舞い上がり

 

緑を眺めれば

 

短い影と

揺れる葉が

たじろいでいる