2020-05-11 風にのって #詩 詩 丸い なまった あたたかい風は 植えたばかりの 稲を揺らし 皐月の光の中 駆けてゆく 南から 夏が押し寄せ 韜晦の春は 役目を終え 震えは止まり 衣を脱ぎ 汗が流れ出す 手をひろげて 体で浴びた 夏の気配を 憂いなど 馬鹿馬鹿しく ただ射してくる陽線 風を孕んだシャツ 立ち上がる熱気とともに 舞い上がり 緑を眺めれば 短い影と 揺れる葉が たじろいでいる