秋風心に吹いて

うらぶれ長屋に

秋風が吹けば

 

障子の隙間が

ぴゅうぴゅうと

音を立てる

 

ゴキブリ

ねずみが騒ぎ出し

 

冬の手前の

一騒動

 

ああ夏よ

過ぎ去りし夏よ

 

動き

日を浴び

汗にまみれた

 

おまえとは

二度と会えない気がする

 

秋風は

背に一筋の寒気をもたらせて

 

わたしは

このままでいられない

 

寒さに

歳月に

縮こめられて

 

すくんで

しぼんで

 

しわしわになってしまうと

思っている

 

今日の夢は

明日の落胆