あいつが死ぬまで死ねない

この街を徘徊する

奇妙な男

 

でっぷり太り

酒浸りで

酒場のはしごに次ぐはしご

 

あいつとは

いろいろあった

 

酒も飲んだし

喧嘩もした

 

多くの呑助が

離脱していく中

 

あいつだけは

しぶとく

生き残っていた

 

あいつは

病気になった

 

俺も

病に倒れた

 

それでも

あいつもオレも

酒を飲み続ける

 

飲みながら

たまに目にする

あいつだけには

負けられないと思う

 

あいつが死ぬまでは

オレは死なない

 

あいつが倒れるまでは

オレは倒れない

 

あいつより

はやくはくたばれない

 

あいつよりは

あいつよりは

 

だから

 

はやく

あいつに死んで欲しい

 

そうすれば

楽になるから